ある飲み屋で隣り合わせた50代男性の“打ち明け話”だ。
「酒を飲むと、翌朝顔がむくむ。これが毎日続いて、“酒のせいだ”と思ってい
たら、体のだるさも続くようになった。病院に行ったら、顔のむくみは酒の飲み
過ぎが原因ではなく、糖尿病が進行し、腎機能まで低下しているせいだって分か
った。ホントは、今もこうやって酒なんか飲んでちゃ、ダメなんですけどねえ…
…」
東海大学東京病院・片岡邦三医師によると、「むくみは重要臓器の重篤な病変
のサインである可能性があります! 放っておいてはいけません!」とのこと。
片岡医師に詳しく聞いた。
「まず、どういうふうにむくみが出ているかをチェックしてください」
Yさん(52歳)は、靴下を脱いだ後、足にゴムのあとがくっきり残るのが気
になっていた。痛飲したわけでもないのに、顔も腫れぼったい。特に、まぶたが
腫れていた。消化器内科で検査を受けると慢性腎炎だった。
「腎臓に原因がある場合は、足のほか、まぶたなど顔にもむくみが出てきます。
慢性腎炎や慢性腎不全などによるむくみは、“そういわれればむくんでいるが、
病気によるむくみというほどひどくはない”といった感じ。つまり、“緩やかな
むくみ”です。一方、急性腎炎、急性腎不全、ネフローゼ症候群などは、急激に
むくみがひどくなります」
糖尿病を抱えている人は要注意だ。ただでさえ、合併症としてネフローゼにな
りやすい状況にいる。むくみがあれば、真っ先に腎臓病を疑って病院で検査を受
けた方がいい。
「顔はむくんでいないけど、ひざから下がやたらとむくむようになった場合は、
心不全の疑いがあります。特に弁膜症など心臓病の既往症がある人は、すぐに、
むくみの原因を病院で調べてください。手足のむくみがひどい、併せて寒けがす
る、眉毛の外側が薄くなるという症状なら、甲状腺機能低下症のサインである可
能性があります」
●腎臓や肝臓など重要臓器に重い病変の恐れあり
Eさん(56歳)は、肝機能数値が高いと健診で指摘されていたが、自覚症状
がないのをいいことに、平気で酒を飲んでいた。最近、だるさや腹部膨満感があ
り、食べ過ぎたわけでもないのに体重が数日間で1キロ増えた。検査の結果、慢
性肝炎から肝硬変に進んでいると言われた。
「肝機能低下の症状のひとつに、むくみがあります。肝臓で作られるアルブミン
というタンパク質量が十分でなくなり、膠質(こうしつ)浸透圧(水を血管内に
保とうとする力)が低下して、水分が血管外に染み出てむくむのです。水分が染
み出た分、尿として排出される量が減るので、トイレの回数、1回に出る尿量の
減少も見られます」
男性は女性ほどむくみを意識しないから、ちょっとした変化を見逃しがちだが
……。
「普通の食生活をしていれば、数日で1〜2キロも体重が増えることはない。体
重増も、むくみに気が付くポイントになります」
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