2007年9月6日 掲載
甲状腺がんの意外な正体
東国原知事は良性腫瘍だったが…
注目を集めた東国原英夫・宮崎県知事の甲状腺腫瘍は、良性だった。
この騒ぎでクローズアップされた甲状腺がんは、あまり耳にしないがんで、よ
く知らないという人も多いはず。そこで、ちょっと変わった特徴を持つ、このが
んの意外な正体を、甲状腺疾患専門病院「伊藤病院」の伊藤公一院長に聞いた。
●女性だけではない
甲状腺は、のど仏のすぐ下にある重さ18グラムほどの臓器で、甲状腺ホルモ
ンを分泌している。甲状腺疾患には、大きく分けて2つある。東国原知事のよう
に甲状腺に腫瘍ができる甲状腺腫瘍と、ホルモンが不足したり過剰になったりす
る甲状腺ホルモン異常だ。
「ホルモン異常を来す甲状腺疾患は、女性に多いのですが、甲状腺腫瘍について
は、男女差は関係ありません。ただし、腫瘍があっても、ホルモン異常を伴わな
い人がほとんどです」
●手術なしでも大丈夫
「甲状腺がん全体の90%を占める乳頭がんは、増殖スピードが遅い。乳頭がん
なら、90%は手術で治ります。腫瘍最大径が1センチ以下の乳頭がんを特に微
小乳頭がんといいますが、これは手術さえも不要。1年に1回程度の経過観察で
十分です」
仮にリンパ節転移があったとしても、そうでない人との比較でその後の生存に
有意差がないといわれている。
甲状腺がんの中で危ないのは未分化がんで、1年生存率は6〜20%。しかし
、発症頻度は2〜5%とまれだ。また、発症頻度5%程度の濾胞(ろほう)がん
の一部は、肺や骨に転移することが知られている。
●半分切除でも機能OK
「甲状腺がんの状態によっては、手術で一部を切除します。たとえ、切除しても
、半分までならホルモン分泌などの機能に問題はありません」
全摘の場合は、甲状腺が分泌しているホルモンを補充する。これは生涯続ける
必要がある。
●遺伝の影響もある
「東国原知事は分かりませんが、甲状腺がん全体の1〜2%を占める髄様がんの
中には、遺伝が影響していることがあります。特定の遺伝子が異常を来すため、
遺伝子検査で判別できます」
●ストレスの影響なし
「一部では知事という仕事の激務ぶりから、“ストレス説”が語られていますが
、あれは間違い。甲状腺がんとストレスを関連づけるデータはありません」
甲状腺がんは、大きくなると、のどを圧迫され呼吸がしづらくなったり、声が
かれたりするが、小さいうちは自覚症状がない。これを見つけるには、人間ドッ
クなどで頚部(けいぶ)のエコー検査を受けることが必要だ。
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